税金と合わせて給与明細に記載されている天引き項目が社会保険。
そして…なんと……労働者は給与所得に対して、おおよそ15%を社会保険料に支払っている。
社会保険とは、会社員や、一定の条件を満たす短時間労働者(アルバイト・パートなど)が加入する保険の総称。所得税&住民税とは違って、企業と従業員の双方が同額の社会保険料を負担している。
法律で定められているため条件を満たす人は必然的に加入することになっており、入会拒否はできない。
給与から自動的に天引きされてしまうが、実際には何のために支払っているのだろう?
社会保険は大きく分けて5種類。これらを更に分類すると狭義では、「健康保険」「介護保険」「厚生年金保険」をまとめて社会保険と呼び、残りの「雇用保険」と「労災保険」をまとめて労働保険と呼ぶ。
調べた内容を以下の表にまとめてみたけど、よく考えられている制度だなと思う。
| 種類 | 狭義 | 内容 |
|---|---|---|
| 健康保険 | 社会保険 | 病気やケガ、それによる休業、出産、死亡といった思わぬ事態に備える公的な医療保険制度。企業等に勤めている人とその家族が加入する。 就職すると、健康保険の被保険者になり、被保険者と事業主が保険料を負担しあって運用されている。 一定の条件を満たすとパート従業員なども加入義務が発生する。 ※自営業者など、企業に勤めていない人は「国民健康保険」に加入することになる。 |
| 介護保険 | 社会保険 | 原則として40歳以上が加入する。介護保険制度を運用するため被保険者が負担。 |
| 厚生年金保険 | 社会保険 | そもそも日本に在住するすべての20歳~59歳の人は国民年金(基礎年金)に加入することになっている。加えて会社員や公務員が支払うのが厚生年金。 年金を受けるために必要な受給資格期間を満たせば、基礎年金の受給額に上乗せする形で厚生年金を受け取れる。 保険料は月額の報酬額で決まり、一定の条件を満たすとパート従業員なども加入対象になる。 ※自営業者など、企業に勤めていない人は国民年金(基礎年金)のみ支払う |
| 雇用保険 | 労働保険 | 失業時や継続的な雇用が困難な事由が発生した際に、労働者の生活や雇用の安定、就職促進を図る目的で設けられた公的保険。失業手当、教育訓練給付金などが関係。 失業時にハローワークに行って諸々申請すると給付金をもらえるのはこれを払っているから。 |
| 労災保険 (労働者災害補償保険) | 労働保険 | 事業の種類により労災保険率が異なる。業務中や通勤による労働者の負傷・疾病・障害・死亡に対して労働者やその遺族が給付を受け取れる。 |
第一に、社会保険が適用されている会社(適用事業所)に勤務していて、賃金を得る場合は強制的に被保険者となる。
ただし、短時間労働者と呼ばれるパート従業員やアルバイトは例外とされていて、彼らは、一定の条件を満たすと加入対象になることがある。
社会保険の加入は下記の勤務条件を満たす場合に義務化されるのだ。
- 75歳未満の正社員や会社の代表者、役員等
- 70歳未満で週の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が、常時雇用者(正社員やフルタイム従業員のこと)の4分の3以上である人
- 以下のすべてに該当する短時間労働者
ー 1週間の所定労働時間が20時間以上
ー 2ヶ月を超える雇用の見込みがある(フルタイムと同様)
ー 学生ではない(夜間学生、通信制は除く)
ー 月額の賃金が8.8万円を超える
ー 従業員数51人以上の事業所(特定適用事業所)に勤務している ※2024年10月~
複数の企業で働いていて、1カ所のみが社会保険加入要件を満たす場合は、その企業で社会保険に加入することになる。
尚、2カ所以上の会社で社会保険の加入要件を満たした場合は、被保険者本人がどの事務所から社会保険を支払うかを選択する必要があるし、各企業はそれに準じた支払いをすることになる。
つまり裏を返せば、仮に、本業の傍らに副業でアルバイトをすることになったとした場合、30代会社員でも1週間の労働が19時間以下で、月額収入8万円以下の小規模な職場に短期でアルバイトした場合は社会保険の加入条件にひっかからない。
最近はやりのタイミーは、この社会保険への加入が必要ない仕事とマッチングさせることができるため、副業にオススメとされている。
社会保険のうち、労働者が企業に属しているかぎり強制的に徴収される保険料が5種類あった。
裏を返せば、働いていない限り支払いの必要がないのは雇用保険と労災保険。40歳以下なら介護保険の支払いも発生しない。
だけど、企業に勤めていなくても、たとえ無職だとしても、法律によって支払い義務が定められている為、「国民健康保険」と「国民年金(基礎年金)」は絶対に払わなければいけない。
支払わなかった場合は督促状が届き、この支払期限を過ぎると延滞金が発生。国民健康保険の場合は医療費が全額負担になるし、年金も最終的には差し押さえによって強制徴収されるという恐ろしい末路が待っている。
経済的な理由等で保険料や国民年金の納付ができない場合は、免除制度や納付猶予制度を利用できる可能性もあるため、もしニートになったとしても申請を忘れないように。

